
「埼玉ご当地グルメかるた」…埼玉県内40市町村のご当地グルメ 大学生が取材、作成 「埼玉の豊かな食を求めて旅をしてほしい」
大学生が、県内すべての市町村を自分の足でめぐる――そんな地道な取材から生まれた「埼玉ご当地グルメかるた」が、文教大学国際学部の青木ゼミから届いたと、dメニューニュースが伝えています。4年生18人でおよそ10カ月を費やし、昨年11月ごろから県内40市町村のご当地グルメを訪ね歩いて集め上げた45枚のかるた札には、土地ごとの歴史や文化、伝統、暮らしの輪郭が静かに息づいているとのこと。「食をメディアにする」をテーマに掲げる専任講師・青木洋高さん(46)のゼミでは、伝統的な郷土料理から新しいご当地グルメまで、複数の店や団体が地域とともに発信してきた「土地の味」を対象に拾い集め、ひとつの名物には集約されない埼玉の魅力を、一枚ずつのかるたに映し取ったのだとか。夕暮れどきの窓辺でページをめくれば、見たことのない鍋の湯気や、里の畑を踏んだときの土の匂いまで、ふわりと立ちのぼってくるようです。
一枚のかるたに、土地の記憶を炊く
札に収められたのは、東西南北に根づく多彩な食文化です。文教大学の東京あだちキャンパス(東京都足立区、東武スカイツリーライン谷塚駅が最寄り)がある埼玉県には、誰もが思い浮かべるような代表的な食べ物が一つに定まっていないいっぽうで、地域ごとに異なる食が根付いていると紹介されています。伝統的な郷土料理から新しいご当地グルメまで、土地に根付いた味として発信されているものを対象に、県内各地の食を並べ、「一つに絞れない魅力」をかるたで表現したのだそうです。たとえば越谷の「こしがや鴨ネギ鍋」は、焼いたネギと煮込んだネギの両方を入れるのが特徴とされ、絵札でもその違いがひと目でわかるよう細部まで工夫されていると報じられました。読み札は頭文字が重ならないよう何度も調整され、料理の特徴を短い言葉で正確に伝えるため、作る側にも正確さと分かりやすさの両立に試行錯誤の連続があったとのこと。ひとつの市町村を一つに絞りきれないからこそ、かえって土地ごとの輪郭がくっきりと浮かび上がる――札を並べて眺めることで初めて見えてくる埼玉の食地図。そんな作り手の静かな企みが、紙の向こうから伝わってきます。
足を踏み入れた先で出会う、土地の担い手
学生たちはインターネットや本、自治体、観光協会、商工会議所などへ自ら問い合わせを重ね、実際にまちへ足を運んだと紹介されています。地域の担当者や、グルメを生み出した人へ直接話を聞き、料理の特徴や由来を一つひとつ確かめる日々。取材経験のない4年生にとっては、初めての電話と初めての訪問に、緊張の連続だったことでしょう。それでも原田千穂さん(22)は「かるたが作れるほど、ほとんどの市町村にグルメがあると知らなかった」と話し、越谷市出身の岡田陽向多さん(22)は「埼玉には何もないと思っている人に、いろいろな食があると知ってほしい。知らない魅力に気付いてほしい」と願ったといいます。札の上で光る短い言葉の背景には、こうした学生たちの往来と、土地の人の声が確かに息づいているのですね。土地の味を知るには、その土地に降り立つしかない。ページをめくる手が、ふと地図の上をなぞりたくなる瞬間が、きっと何度もあるはずです。
旅を誘う、紙の招待状として
完成したかるたは子どもから大人まで世代を問わず楽しめるよう工夫され、発売を記念して開かれたかるた大会では、札を取り合いながらグルメに興味を示す子どもたちの姿も見られたと伝えられています。青木さんは「かるたをきっかけに埼玉の豊かな食を求めて旅をしてほしい」と話しており、食を入り口に、その土地の歴史や文化、伝統、暮らしへと目を向けてもらうためのツールとしても位置づけられているようです。完成したかるたは、食を知るだけでなく、その先にある地域へ目を向けてもらうためのもの――世代を問わず楽しむことができる、歩く旅の入口のような存在だといえるでしょう。「埼玉ご当地グルメかるた」は文教大学のキャンパスや各種書店、オンラインストアで販売され、価格は2200円(税込み)。次の休み、聞いたことのない郷土料理を一皿追いかけに、まだ足を踏み入れていないまちへ延びてみたくなる。ページから立ちのぼる湯けむりの余韻とともに、そんな静かな旅心が胸の奥でゆっくりと灯る――歩くからこそ出会える、日本の素顔。埼玉にも、まだ知らない出会いがたくさん待っている。そんなことをそっと教えてくれる一冊です。
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